<aside> 大学の教育学部を卒業後、教育業界で約9年間にわたって学習塾の立ち上げや運営に携わる。2016年から人材業界に転身し、Pole&Lineへ入社。リサーチャーとして経験を積んだ後に、RPOとしての活動に注力する。国内大手の人材サービス企業、急成長中のITベンチャー企業、東京都が設立した財団法人など、数々の組織の内部から採用を支援。

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人材紹介業を選ぶまで

大学の教育学部を卒業後、学習塾の立ち上げ・運営など教育業界で9年間働きました。一区切りついたタイミングで今後のキャリアを見つめ直していたところ、大学時代から友人だった斉藤に「人材紹介の会社を立ち上げるから一緒にやってみないか」と声をかけられました。全くの未経験だったので初めは少し迷いましたが、学生時代から彼は行動を起こす力・やりぬく力の強い人だと知っていたため、そんな彼と同じ船に乗るのは面白そうという想いから、Pole&Lineに創業メンバーとして参加しました。

仕事において大切にしていること

誠実さ、自信、やり抜く意志です。人材紹介業では信頼関係が何よりも大切ですから、クライアントや候補者に対して真正面から誠実に向き合う姿勢が欠かせません。成果を上げても抜け道を探すようなやり方では長続きしませんし、自分の判断に自信を持って堂々と提案できる人こそ、ビジネスパートナーとして信頼を得られると考えています。

とはいえ、誠実に頑張り続けるだけではなく、それ以上の価値提供をすることが必要です。エージェントの価値は、クライアントがまだ踏み込めていない一歩先の領域まで提案し、その領域でやり抜くところにあります。そこまで責任を持つ姿勢こそが、他のエージェントとの差別化を生み、信頼をさらに強固にすると信じています。

印象的な成功体験

RPOとして常駐したクライアント企業で、採用推進にとどまらずチーム全体のハブ役を担えたことです。

当時そのクライアントからは、「採用マネージャーの右腕になってほしい」と期待されていました。そこで通常のリクルーター業務に加え、マネージャーの要望を踏まえつつ業務フローと採用ツールを整備し、現場メンバーが動きやすい環境づくりに注力しました。また、ミーティングではメンバーに積極的に話を振るなどして、立場を超えて誰もが発言しやすい雰囲気を意識的に醸成しました。

こうした取り組みが功を奏し、チーム内の空気が徐々に良い方向へと変わり、採用成果も向上しました。最終的には「採用のことなら櫻井に聞こう」と言われる存在となり、契約延長を何度も打診いただけたことが大きな自信につながりました。

仕事における印象的な出来事

エージェントからRPOに踏み出したことです。入社後の2~3年間はITエンジニア職に特化したエージェントとして経験を積み、職務に必要な知識は一通り得られました。しかし未経験入社の自分がさらに高いバリューを発揮するには、採用をより体系的かつ深く経験する機会が必要だと感じていました。ちょうどその頃、代表の斉藤から「リクルーター業務に加え、マネージャーや採用チームの支援も担えるRPOポジションに挑戦しないか」と声をかけられ、これこそ次のステップだと直感して即答しました。

RPOはクライアント企業に常駐し、内部から採用を支援する立場です。過去の失敗から得た「こうするとうまくいかない」という知見を活かしながら、少しずつ成果を積み重ねるうちに、自信が培われました。複数の企業で多様な採用手法を実践した経験から、結果が出ないときでも「才能がない」「努力が足りない」と決めつけず、「環境や手法が合っていないだけかもしれない」と捉え直せるようになりました。過去の学びが思わぬ場面で武器になると実感できたのは、RPOというフィールドに踏み出したからこそだと感じています。

仕事で改善していきたいところ

成果が伸び悩む局面での努力の方向性に、さらにバリエーションを持たせる必要性を感じています。以前の私は結果が出ないと「とにかく数をこなす」方法に偏り、限られた施策の中で解決策を探しがちでした。たとえばRPO先でスカウト施策が頭打ちになった際も、「別チャネルの方が効果的ではないか」「予算を投じて新しい手法を試せないか」といった発想に踏み切れず、提案も躊躇していました。

いまは「まず試し、検証し、上手くいかなければ学びに変える」という思考が根付きつつあります。今後も多様な打ち手を積極的に提案・推進し、施策の選択肢と学習サイクルをさらに広げていきたいと考えています。

採用の現場で感じる課題感

世相と転職市場の変化に対応しきれず、採用の理想と現実のギャップに苦しむ企業が多いと感じています。

労働人口は右肩下がりで、税金や社会保険料の負担は増大し、どの業界も慢性的な人手不足に直面しています。さらに、SNSや口コミサイトの普及で企業の実態が可視化されやすくなり、組織運営とその根幹である採用のあり方を見直さざるを得ない時代です。

たとえば、かつては知名度だけで人が集まった企業でも、待遇や職場環境が悪ければネガティブな評判が瞬時に広まり、優秀な人材は集まりません。「ブランド力さえあれば採用はうまくいく」という思い込みを捨て、組織全体で採用体験を磨く取り組みが欠かせないと感じます。