<aside> 2000年代初頭インターネット黎明期のIT業界で、プログラマー・Webデザイナーを経て、インターネットサービス・スマートフォンゲーム等のプロデューサーとなる。制作部署の統括やオフショア拠点の立ち上げ・管理など、採用・組織マネジメントにも従事。その経験を活かして2015年から人材業界に転身し、2017年よりPole&Lineに参画する。

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人材紹介業を選ぶまで

新卒以降、IT業界のエンタメ領域でプロジェクトマネージャーとして20年近く仕事をしてきました。事業部長や海外駐在も経験し、キャリアとしては安定していましたが、40代に差し掛かる頃、このまま同じ領域で走り続けることに漠然とした不安を抱くようになりました。主なターゲットである若い世代との感覚のズレを意識する機会が増えたことや、エンタメ領域に自分が今後いつまで関心を寄せ続けられるのだろうかという懸念もありました。

転職活動当初は別分野のPM職を探していました。しかしある時、面談で「採用責任者やピープルマネジメントの経験を人材紹介業で生かせるかもしれない」とエージェントに言われ、直感的に「面白そうかも」と感じました。そこから人材紹介会社に転職し、Pole&Lineは2社目になります。

仕事において大切にしていること

第一に、足元の売上を安定して作ることです。しっかり稼ぐことができれば、精神的に余裕が生まれ、その余裕が良いパフォーマンスにつながり、良きクライアントや良き候補者との出会いにつながります。そうするとさらに成果を挙げられるようになり、ポジティブな循環を生み出します。

第二に、目の前の相手に対して真摯に価値を提供することです。「この人と付き合うと良いことがある」と思ってもらえれば、次につながるチャンスがめぐってきやすくなります。相対する人に対して、まずは自分から価値を差し出すことを意識しています。

第三に、仕事とプライベートをきっぱり分けないことです。普段の生活からも仕事に活きる発見は多々あるので、この二つを明確に分ける必要はないと考えています。また休みモードを作ってしまうと、仕事モードへ切り替えるのにエネルギーを使うので、垣根を作らないほうが楽だとも感じます。

エージェント業の成功法則

大きく二つあると考えています。

第一に「適切なタイミングを逃さないこと」です。ポジションをお預かりしたとき「この役割ならあの人が合いそうだ」と候補者の顔が浮かんでも、本人が転職を考えていなければ決定には至りません。日頃から候補者とはつかず離れずの距離感で接点を持ちつつ、その方のキャリア観や転職への関心の変化をそれとなく追うようにしています。そして転職への意向が高まった兆しを感じたときに、最適な案件を提案できるようにしておくことが、成約率を高める鍵だと考えています。ただし過度な接触や頻繁な打診は逆効果になるため、相手に煩わしさを与えない節度あるコミュニケーションを意識しています。

第二に、自分自身がクライアント企業を深く好きになることです。世の中には多くの求人があふれており、企業独自のユニークさや、候補者に勧めたい理由を自分の言葉で語れなければ、魅力は伝わりません。だから私は、事業の面白さや組織文化、募集背景を深く理解し、クライアント以上にクライアントの魅力を語れるように常に意識しています。クライアントに対する興味や共感が深まるほど紹介の説得力が増し、候補者にも魅力を感じてもらいやすくなります。

仕事における成功体験

ある企業の上場準備期に、CEOの右腕となる執行役員候補の採用を決定までつなげた経験です。候補者としてお声がけした方に「自分は転職を考えていないが、自社の採用を手伝ってほしい」と言われたことをきっかけに始まった案件でした。

まずは人材要件や希望を詳細にヒアリングするところから始め、面談が終わるたびに、クライアントとも候補者とも密にコミュニケーションを重ねました。このプロセスで双方の所感や要望をしっかり汲み取り、丁寧にすり合わせを行ったことが決定に結び付いたと感じます。

前職の人材紹介会社は分業制だったため、Pole&Lineに入社するまでは、採用プロセスの一部しか経験したことがありませんでした。初めてCxOクラスの採用をゼロから始め、内定受諾まで伴走したこの経験が、Pole&Lineでの仕事の礎になっています。

この仕事の難しさ

あるリテーナーサーチの案件で、依頼されたポジションを決めきれなかったことがありました。その案件は、市場に同種の求人が多く、年収や待遇面も競合他社と横並びで、候補者へ訴求するには企業独自の背景や成長ストーリーを立体的に語らなければなりませんでした。しかし当時の私はその物語を十分に組み立てられず、着手金をいただきながらも成果を出すことができませんでした。

リテーナーサーチはPole&Lineの強みである一方、案件によっては成果報酬型のほうが適している場合もあります。今振り返ると、その案件が本当にリテーナーで成果を出せるのかを慎重に見極め、難しいと判断したら、より見込みのある成果報酬型の契約をクライアントに勧められたかもしれません。ポジションの難易度や差別化要素を見極め、クライアントと候補者の双方により確実に価値を届けられるようでありたいです。

Pole&Lineの課題